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リン酸鉄リチウムバッテリーの特性


リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO₄バッテリー、LFPバッテリー)は、近年さまざまな用途で注目されているリチウムイオン電池の一種です。

当社もNEV電動トゥクトゥクに採用しており、利用者の皆様に安心してお使いいただけるようにその特性を以下の通りまとめました。


🔋 リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LFP)の主な特性

長寿命

  • 充放電サイクル回数: 約2,000〜5,000回(条件によりさらに多くなる場合もあり)

  • 他のリチウム系バッテリー(例:NMC, NCA)よりもサイクル寿命が長い

高い安全性

  • 熱安定性が高く、熱暴走を起こしにくい

  • 発火や爆発のリスクが低く、安全性重視の用途に最適

  • 化学構造が安定しており、過充電・短絡時のリスクが小さい

広い動作温度範囲

  • 使用温度範囲:-20℃〜60℃程度

  • 高温環境下でも安定した性能を維持(ただし極寒環境では性能がやや低下)

安定した放電電圧

  • 定電圧に近い特性があり、放電中の電圧変化が小さい

  • 電子機器やEVでの電源管理がしやすい

環境に優しい

  • コバルトを含まないため、環境負荷や倫理的懸念が少ない

  • リサイクル時にも有害物質の問題が比較的小さい


⚠️ 欠点・注意点

エネルギー密度が低め

  • 他のリチウムイオンバッテリー(例:NMC、NCA)と比較して重量エネルギー密度が劣る

  • 航続距離や小型化が重要な用途(例:高性能EV)では不利

低温性能がやや弱い

  • 氷点下では内部抵抗が増加し、性能が低下

  • 寒冷地での使用には対策(加温、ヒーターなど)が必要


🚗 主な用途

  • 電動車(EV、ハイブリッド車、電動バイク)

  • 再生可能エネルギー用蓄電池(太陽光、風力など)

  • UPS(無停電電源装置)、家庭用蓄電池

  • 電動工具、ドローン、船舶など


🔄 他バッテリーとの比較(簡易)

特性LFP(リン酸鉄)NMC/NCA(他のリチウム系)鉛蓄電池
エネルギー密度△(やや低い)◎(高い)×(非常に低い)
寿命◎(非常に長い)○(中程度)×(短い)
安全性◎(高い)△(注意必要)○(比較的安全)
コスト○(低め)△(やや高価)○(安価)


🔋 リチウム系バッテリーの充放電サイクル寿命 比較

バッテリー種類サイクル寿命(目安)備考
LFP (リン酸鉄リチウム)約 2,000~5,000 回以上安定した長寿命、EVや蓄電池に最適
NMC (ニッケル・マンガン・コバルト酸リチウム)約 1,000~2,000 回エネルギー密度と寿命のバランス良好
NCA (ニッケル・コバルト・アルミニウム酸リチウム)約 1,500~2,500 回高エネルギー密度でEV用途が多い
LCO (コバルト酸リチウム)約 500~1,000 回高エネルギー密度だが寿命短め、スマホやノートPC向け


🔋 リチウム系バッテリーの放電電圧比較

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SOC(充電率)電圧(V/セル)
100%約 3.65V
90–30%約 3.2–3.3V(安定領域)
10–0%急激に低下(~2.5V)

この中間領域の平坦性がLFPの最大の特徴であり、電力曲線上でも「フラットな出力」が実現されています。

当社を例に安定電圧は75V~77Vであり、71V以下になると充電のタイミングとなります。